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人工知能(AI)の進化とこれからの展望

最近、人工知能、英語でAI(Artificial Intelligence)という言葉がマスコミでよく取り上げられている。

AIには、機械学習(Machine Learning)、強化学習(Reinforcement Learning)および深層学習(Deep Learning)などの言葉が使われるが、いずれも学習という言葉がキーワードである。

このAIの応用としては、ロボット、車の自動運転、さらに各種のゲームが取り上げられることが多い。特に、一昨年、昨年と囲碁のプロ棋士にアルファ碁という名前の対局ロボットが勝ったことが大きな話題となった。今やどのプロ棋士も対局ロボットには勝てなくなったと言われている。

我々が「学習」と聞くと、当然、小、中、高校、さらに大学での勉強を思いだす。しかし、現在のAIはこのような順序立てた学習は大変苦手で結果のみを示すものがほとんどである。その理由は今のAIは人間の脳内のニューロンをまねた非常に多数のノードからできており、これらが連携して動作をするために、その動作の解析がほとんどできず、結果のみ、すなわち理由なくして答えのみ提示するからである。この動作はある意味で人間的であり、我々もその理由がわからないままに行動することが多々あると言える。

今までのAIはある特定の目的のためのAIである。自動運転とかゲームなどが先行しているが、あと2,30年の内にはあらゆる分野に広がる汎用的なAIになると言われている。2045年の時点には、「全人類の知性の総和を越える」、すなわち、これをシンギュラリティ(singurarity)と呼ぶ本も登場し、話題になっている。

この時点になると、ほとんどの生産活動とか、運搬などがロボットにとって代わられ、人間は古代ギリシャ時代の貴族のように、趣味とか知的活動だけすればよい。そのためには、現在の社会保障をさらに進めて、全国民に高度な最低限所得保障(Advanced Basic Income)を提供すべきであるという経済学者も現れている。

今までのAIは、それ自身の学習が目的のものであった。自動運転とかゲームなどであるが、これからのAIは人間の学習を助けるAI、すなわち、学習支援ロボットが出現してもおかしくない。特に人間の学習で目的とか定義がはっきりしているものの支援には大変役に立つと思われる。学校教育における、数学、物理などは好例になろう。スポーツや、子供の囲碁の学習にも適用できるとよいが、これはなかなか難しそうだがやってみたい分野ではある。

EASEの目的であるソフトウェア工学の分野においても今後、AIの適用を検討していく必要があろう。はたしてどんな進め方とかポートフォリオを作成するのがよいのだろうか。

Author
小山正樹 小山 正樹

奈良先端大学院大学名誉教授